
マーケティングを行っていると「オウンドメディア」という言葉を聞く機会があると思います。
意外といろいろな意味を持つこの言葉は、人によって何を指しているかが異なっている場合があります。
今回は、オウンドメディアについてご紹介します。
こんにちは。BlueAgeです。
BtoB事業者向けにオウンドメディアを活用したコンテンツマーケティングのコンサルティングを行っています。コンテンツマーケティングやオウンドメディアと聞くと、「難しそう」「続けるのが大変そう」と思うかもしれませんが、実は低コストで始められて効果は抜群のマーケティング手法なのです。
この記事ではオウンドメディアの基本をご紹介していきます。
オウンドメディアとは何か
オウンドメディアの定義と種類
オウンドメディア(Owned Media)とは、企業や個人が自ら所有・運営するメディアのことを指します。たとえば以下のようなものが代表的です。
- 自社の公式ウェブサイト
- ブログ・コラムページ
- 会員向けのメールマガジン
- パンフレットなどの紙媒体
最近では、YouTubeチャンネルやポッドキャストなども含まれることがあります。
これらのメディアはすべて、第三者の媒体を介さず、自由に情報発信ができるという点が特徴です。
特にBtoBの領域では、ウェブサイト内のコンテンツ(ブログや事例記事)を中心に運用されることが多く、これが営業活動やリード獲得に直結するケースも少なくありません。
ペイド・アーンドメディアとの違い
オウンドメディアを正しく理解するためには、他の2つのメディアと比較するのが効果的です。
マーケティングではよく「トリプルメディア」という考え方で、次の3つに分類されます。
メディアの種類 | 説明 | 例 |
---|---|---|
オウンドメディア(Owned) | 自社メディア。自社で保有しているもの | ・コーポレートサイト ・自社ブログ ・メルマガ ・自社SNS |
ペイドメディア(Paid) | 有料メディア。広告。費用を払ってコンテンツを表示するもの | ・テレビ広告 ・Web広告 |
アーンドメディア(Earned) | 第三者メディア。無料で報道機関や第三者によって発信されるもの | ・報道露出 ・取材記事 ・他社SNS |
それぞれのメディアには役割がありますが、オウンドメディアは「自社の資産」として長期的に積み上げていける点が大きなメリットです。一方で、短期的に多くの集客を狙いたい場合はペイドメディアの方が適しているなど、目的に応じた使い分けが必要です。
なぜ今、BtoB企業にオウンドメディアが求められているのか?
かつてBtoBビジネスにおいては、展示会や電話営業、既存の人脈を通じた紹介などが主な営業手法でした。しかし、コロナ禍をきっかけとした営業活動のオンライン化や、顧客の購買行動の変化により、「自社から情報を届け、顧客から選ばれる」マーケティングの重要性が高まっています。
では、なぜ今、BtoB企業こそオウンドメディアが必要とされているのでしょうか?
最も大きな理由は、顧客側の情報量が圧倒的に増えたことです。
様々な情報がインターネットで簡単に探せる現在、BtoBのサービスにおいても顧客はまずインターネットで自社の課題の解決方法を調査します。そして、自社の課題を解決してくれそうなソリューションにある程度目星をつけて問い合わせを行う、という行動が一般的になっています。
Googleの調査によれば、購買担当者の約60%は営業にコンタクトを取る前に、意思決定の大半を終えているとも報告されています。つまり、自社のウェブサイトに役立つ情報がない場合、それだけで比較・検討の土俵にも上がれない可能性があるのです。
オウンドメディアを通じて日常的に見込み顧客との接点を持っておけば、早い段階の情報収集フェーズで顧客の信頼を獲得し、検討対象に入ることが可能になります。
オウンドメディアと他のマーケティング手法の比較
そんなオウンドメディアも万能ではありません。
オウンドメディアのメリット・デメリットをご紹介します。
まずは、違いが分かりやすいように先ほど説明したトリプルメディアの整理の中で他の手法との比較を見てみましょう。

縦軸に、ペイド、オウンド、アーンドを並べています。
色が濃くなっているところほど他の手法と比較して優れている部分だとご理解ください。
オウンドメディアのメリット
まず、オウンドメディアのメリットについてです。
効果の持続性が高く、長期的な見込み顧客の獲得が可能
オウンドメディアの一番のメリットが効果の持続性が高い点です。
オウンドメディアに掲載したコンテンツは、広告のように掲載期間が終われば消えるものではありません。検索エンジンに評価されれば、何年にもわたって継続的にアクセスを集めることが可能です。
つまり、「知ってもらう → 興味を持ってもらう → 問い合わせにつながる」流れを、半自動的に生み出せる仕組みとなるのです。
また、オウンドメディアでは単なる商品紹介ではなく「課題解決のための情報」や「事例紹介」を通して、顧客との信頼関係を築くことができます。とくにBtoBの領域では、信頼は受注の決め手になる要素です。
低コストで始められる
オウンドメディアはペイドメディアと比較して、低コストで始められる点もメリットです。
オウンドメディアを始めるために最低限必要なものは、レンタルサーバとドメインくらいです。
これらは年間1万円以内の費用で準備することも可能です。
もちろん、継続してコンテンツを制作していく稼働は必要になってきますが、運用していく中で外部に支払うコストがかかってくるということがありませんので、万一失敗してもダメージが小さくて済みます。
一方でペイドメディアは広告を出し続けなければ表示されませんので、永続的にコストがかかり続けます。マーケティング費用を継続して捻出できないようなケースでは、短期で広告を出したが結局受注にはつながらなかったというケースも多く見られます。
コンテンツの自由度が高く、自社サービスへの誘導ができる
最後に、オウンドメディアはコンテンツの自由度が高く、自社サービスへスムーズに誘導ができる点が挙げられます。
アーンドメディアでは、第三者が情報を発信するために自社でコンテンツの内容をコントロールすることができません。自社サービスの紹介をしたいのに、自社の経営者の経歴やユニークな社内制度などが取り上げられるということもあります。
こうした取り上げられ方は決して企業にとってデメリットではなく、認知度向上という効果はあるものの直接的にサービスの問い合わせを増加したいマーケティング部門としてはやや間接的な効果として捉えざるを得ません。
また、ペイドメディアは広告ですのでもちろん自社のサービスに関する情報を発信することが可能ですが、広告媒体側の制限を受け、完全には自社の出したいコンテンツの形で出せないということもあります。。
一方でオウンドメディアは自社メディアですのでコンテンツの内容は完全に自社でコントロール可能です。自社のサービスの問い合わせに最もつながりやすいと思われるコンテンツを掲載することが可能です。
オウンドメディアのデメリット
では逆に、オウンドメディアのデメリット、というか苦手な点をご紹介します。
露出量が少ない
最初に露出量です。
オウンドメディアは自社で運営するメディアですので、やはり専門的に運営されている媒体を利用するペイドメディアやアーンドメディアと比較すると露出量(見られる量)が少ないという点は否めません。
しかし、BtoBマーケティングにおいて重要なのは受注につながる見込み顧客に見てもらい、問い合わせを獲得することです。その視点で考えると単純な閲覧数だけで比較を行っても意味がありません。
前述の通りオウンドメディアは自社でコンテンツを自由にコントロールできます。つまり、自社がターゲットとする企業が興味を持つであろうコンテンツばかりを掲載することが可能なのです。
このように、自社のターゲットに最適化されたコンテンツを発信することで、トータルでの露出量はペイドメディアやアーンドメディアに劣っても、良質な見込み顧客からの問い合わせを獲得することは可能です。
短期間では効果が出にくい
もう一つのオウンドメディアのデメリットは、効果が出るまでに時間がかかるということです。オウンドメディアは短期間で成果が出るものではありません。立ち上げから半年〜1年ほどは「育てる」フェーズとして捉える必要があります。
しかし、継続して適切なコンテンツを掲載していけば、比較的再現性高く効果を出せるマーケティング施策でもあります。
- 自社の見込み顧客が課題感を持ち、検索しそうなキーワードを狙う
- 閲覧者の検索意図に沿った役に立つ情報を発信する
- 自社の独自性・専門性を発揮してここにしかない情報を発信する
- 人間にも機械(Google)にも読みやすい記事を書く
という基本を押さえて継続してコンテンツを作成すれば、一定の効果が見込めます。
オウンドメディアの作り方
では、オウンドメディアの作り方をご説明します。
オウンドメディアにもいろいろありますが、ここでは自社のビジネスブログを作成するケースを前提にご説明します。
まず、オウンドメディアに必要なものは以下の3つです。

CMS
CMSはContents Management Systemの略で、オウンドメディアを管理するためのシステムです。
Webサイトは通常HTMLという言語を使って記述されますが、CMSを使うことでHTMLの知識が無くても簡単にWebサイトを作ることができるのです。
このCMSは無料で便利なものが多くあり、その中でもWordPress(ワードプレス)が最もよく利用されています。
ドメイン
次にドメインです。
ドメインはXXXX.comなどのオウンドメディアの住所となるものです。
自社のコーポレートサイトを既に作成されている場合は、自社ドメインを持っているかと思いますので、その場合はオウンドメディアように改めて取得する必要はありません。ただ、場合によってはあえて会社名のドメインとは別に、オウンドメディアの名前でドメインを取得するケースもあります。
とはいえ、初めてオウンドメディアに取り組む場合はまずは自社ドメイン内で始めるという形で問題ないでしょう。
レンタルサーバ
最後にレンタルサーバです。
レンタルサーバはオウンドメディアを実際に配置する場所です。
もちろん、自社でWebサーバを保有している場合にはそのサーバを利用してオウンドメディアを運営しても構いません。コーポレートサイトを運営している場合には同一サーバでオウンドメディアも運営するのが楽でしょう。
オウンドメディアの立ち上げ方
オウンドメディア運営に必要な3つの要素をご説明したところで、具体的なオウンドメディア(ブログ)の立ち上げ方をご紹介します。
以下のスライドにまとめてみました。

上記の順番で進めていけば効率的にオウンドメディアの立ち上げができるでしょう。
以上、オウンドメディアについてご紹介しました。
オウンドメディアを使ったマーケティングに成功すれば新規顧客を継続的に獲得できます。
しかし、自自分一人では始められない、なかなか続かないという課題をお持ちの方も多いでしょう。
そんな時は、マーケティングをスポットで支援するサービス「スポットCMO for B2B」をご検討ください。
BtoBマーケティングのプロが月3万円からの低価格でマーケティングの伴走支援を行います。
